本日は、会員様向けオンライン研修にて、音読についてのお話をさせていただきました。
ご参加いただきました先生方、ありがとうございました。
さて、その音読について、昨年12月末に出版された興味深い本がございますので、
ご紹介いたします。
「本を読むだけで脳は若返る」 川島隆太 PHP新書 です。
何度か東北大学へお邪魔して川島先生にインタビューをさせていただいてから、
すっかり大ファンになった私です。書籍が出版されると、すぐ拝読して、
いつも多くの学びを得ています。
川島先生は、脳の血流の量をMRIで調べて、脳のどこが活性していて、
どのくらいの活動量があるかを長年調べている先生です。
以前から、脳の前頭前野にある「思考の脳」がしっかり働いている人ほど、
学習効果が出やすいということを話されており、さらに、今回の本では、
音読・黙読とも、活字を読むと、思考の脳はもちろん、後頭葉も側頭葉も動き、
脳全体が活動するという結果が出たと書かれています。
また、「言語は左の脳だけを使う」と言う人がいるけれど、それは間違いで左右の脳が
確実に動いているとも書かれてありました。
さらに、
➀紙の本とデジタル機器による読書とを調べると、同じ物を読んでいても、
語彙の習得や文章の理解が異なり、紙の本の方が明らかに優れているということ。
②スマホやタブレットで長文を書くのと、紙に手書きで書くのでも、紙に手書きで書く方が、
脳の活動は高まるということ。
③紙の辞書と電子辞書、インターネットで調べるのとでは、紙の辞書の方が記憶の定着が
よいということ。言葉の意味を知りたいだけなら、電子辞書やインターネットで充分。
短時間で欲しい情報が手に入る。しかし、調べたことを記憶にとどめて自分で使えるように
したいならば、紙の辞書を使うべきと話されています。
やはり、いつの時代になっても、「紙」での学習は効果大なのですね。
そして、この本では、音読と黙読のどちらが、脳の活動量が多くかも調べています。
音読の方が、考える脳「思考の脳」がより働く。音読は、目からの情報、声に出す情報、
音として耳に入る情報と二重三重に脳を使う。なので、音読の方が、思考の脳はよく働き、
結果、記憶力も伸びたそうです。
驚くべきことに、音読によって、認知症の症状が進行が止まったのではなく、認知機能が回復したという
結果にもなったとのことです。
川島先生は、毎日、勉強をする前に二分、音読をすることを勧めています。
脳の準備運動になり、その後の学習で脳が全力で働けるようになる状態になるそうです。
集中力が増し、学習スピードもあがるので、ぜひ、教室でも音読を積極的に入れてみては、
いかがでしょうか。(文責:斉藤)