コラム№10 不適切な保育を考える

 

不適切な保育・・・。

先生方は不適切な保育って、どこまでがそうなのだろうと不安になってしまうことはありませんか。

すでにご存じだと思いますが、全国保育士会が「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を

出されています。

 

今回は、実施された先生から伺った中で、難しいと感じた項目を一つご紹介します。

 

【項目】自分から訴えてトイレに行くことができるようになった子どもに対して、

「おしっこ出ない」と訴えていても、トイレに行くように促す。

 

【チェック】ご自身は、している?していない?

 

という内容です。皆さんは、いかがでしょうか。

 

排泄時に「行きたくない」「出ない」という子どもに対し、強制的に行かせていませんか。

この項目のポイントとして、保育士の都合で強制的に排泄を促すことは、子どもの自主的な

行動の妨げになる。行きたくなるような配慮が必要と書かれてあります。

 

たとえば、「これからプリントをするので、その前にみんなトイレに行ってきて!」と促した時、

「出ない」という子へも「行きましょう」と声かけしたら、それは、強制的に排泄を促していると

いうことなのです。

 

確かに、子ども達全員が同じタイミングで排泄することはないので、一斉に行かせるのは

強制なのかもしれません。

しかし、バスに乗る前や散歩、遠足時など、「出ない」という子がいても、

一斉に強制的にトイレを促すのは、止むを得ない場合もあるでしょう。

 

そのようなことを、具体的に保育士間で確認し合うことが大切なのではないでしょうか。

低年齢では、子ども達一人一人の排泄感覚を把握して、タイミングを見て促すことも必要ですよね。

 

この項目で大切なことは、保育士都合で、強制的に行かせていないかということです。

 

指示、命令で強制的に促すのではなく、自分でトイレに行った方がいいと思えるような声かけを

考えてみるのもいいと思います。

 

一つの例として、「プリントの途中でトイレに行かなくてすむように、先にトイレに

行った方がいいと思うけど、〇〇ちゃんはどう思う?」と、「?」をつけて声かけするだけで、

子どもは考え、意志決定するようになるかもしれません。

 

先を見通して、自らトイレに行けることが大切なのですね。

 

対応策は限りなくあると思います。

こういうことを園内研修で、考える過程こそが、不適切な保育への理解を深めることに

なるのではないかなと思います。

 

まだ、されていらっしゃらない園の先生方、ぜひ、チェックされてみてくださいね。(文責:斉藤)

 

☆全国保育士会

保育所・認定こども園における人権擁護のためのセルフチェックリスト

https://www.z-hoikushikai.com/about/siryobox/book/checklist.pdf