育脳コラム№8 筆順の原則(漢字編)

 

 

この会員ページの№6でも、また会員様向けオンライン研修でもお話をさせていただきましたが、

今回は、漢字を中心にもう少し深くお話をしていきます。

筆順については、昭和33年に文部科学省の前身である文部省(当時)が発行した

「筆順指導の手びき」に基づいて、国語教科書や書写教科書に明記されています。

 

そこで、指導される時の参考として、「筆順指導の手びき」に書かれている筆順の原則を紹介します。

 

大原則1 上から下へ

「上から下へ(上の部分から下の部分へ)書いていく。」

大原則2 左から右へ

「左から右へ(左の部分から右の部分へ)書いていく。」

原則1 横画がさき・・・十、土など

「横画と縦画とが交差する場合は、ほとんどの場合、横画をさきに書く。」

原則2 横画があと・・・田、曲、角など

「横画と縦画とが交差したときは、次の場合に限って、横画をあとに書く。」

原則3 中がさき・・・小、水など

「中と左右があって、左右が1、2画である場合は、中をさきに書く。」

原則4 外側がさき・・・国、同など

「くにがまえのように囲む形をとるものは、さきに書く。」

原則5 左払いがさき・・・文、父など

「左払いと右払いとが交差する場合は、左払いをさきに書く。」

原則6 つらぬく縦画は最後・・・中、書など

「字の全体をつらぬく縦画は、最後に書く。」

原則7 つらぬく横画は最後・・・女、子など

「字の全体をつらぬく横画は、最後に書く。」

原則8 横画と左払い・・・右、左など

「横画が長く、左払いが短い字では、左払いをさきに書く。

横画が短く、左払いが長い字では、横画をさきに書く。」

 

この筆順の手びきには、「学習指導上の観点から一つの文字については、一つの形に統一されているが、

このことは本書に掲げられた以外の筆順で、従来行われてきたものを誤りとするものではない」と

記されています。正しい筆順は、絶対的なものではありません。

 

実際に、同じ漢字圏である中国や台湾では違う筆順があります。

・日本、中国、台湾で異なる筆順→字種「必」

・日本と中国が同じで、台湾が異なる筆順→字種「再」「快」「里」

・中国と台湾が同じで、日本が異なる筆順→字種「王」「美」「青」「推」「田」「曲」「由」「右」「耳」「座」「成」

・日本と台湾が同じで、中国が異なる筆順→字種「母」「航」「出」「皮」

 

このような違いは、それぞれの国で歴史的に醸成されてきた漢字に対する意識や感覚、

伝統的な価値に対する考え方の相違などが反映されているようです。

 

だからといって、筆順は適当でよいということではありません。

 

機会的な訓練ではなく、「筆順を守ると書きやすい」「字が整った」など、子ども達が実感し、

筆順に関心をもって、取り組めるようになるといいですね。  (文責:斉藤)